天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


このところ魔界では災厄が多く、特に不作であった為に私も心から天に感謝した。


それからしばらくすると災厄から解放された魔界は天界に戦争をしかける準備を始めた。


天女と鬼神がいる天界に勝算などなかった。馬鹿なことをと思う輩がいる反面、戦争を支持する声もあった。なにより魔帝が戦争を支持していた。


多くの魔界の者が戦で死んでいった。


それに悲しんだ天女の力が薄れているということもあり、ますます戦いは激しくなっていった。


そんな中、春花が言った。


「私、天女様の元に行く。きっと今すごく悲しんでいる」

「何を言いだすんだ!」


だが、春花の瞳に迷いはなかった。


「一度天女様に救われた命よ。傍にいて差し上げたい」

「私は、秋月はどうなる」

「このままだと一生後悔して生きていくことになる。陶武お願い。必ず生きて戻るわ」


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