天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
時間がたつのは早いものでもう発たねばならない。
兄上にもらった簪をさし屋敷の門へ向かうと父上と兄上がいた。
「父上、兄上」
礼をとると二人とも微笑みを返した。
「白蘭、これをもっていきなさい。私が作った。お前はいつ怪我するかわからんからな」
兄はそういって私に貴重な軟膏を渡してきた。八咫烏一族が百年かけてつくる軟膏だ。それを兄は私のために作ってくれたのだ。
「感謝します。兄上」
兄と抱擁をかわす。
「私からはこちらを」
「父上…これは」
父上が渡してきたのは首飾りだった。純白の羽と黒い羽がついた首飾りだった。