天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
三人とも貴族の令嬢だわ。特にあの炎狐族の双子は現魔后と同じ一族じゃない。黒豹族だって魔界の中で戦将軍の娘だし。私だけが明らかに場違いだわ。
「堅苦しいのは終わりにして、早速仕事につけ」
それからというもの、いやいやながら皇太子の侍女として日々努めた。
そして四人の誰よりもよく侍女長の雪梨様に𠮟られた。
「白蘭、そなたは貴族ではないから知らないと思うが魔宮には掟が多くあります。侍女になったからには覚えなければ。」
「はい。雪梨様」
「これを明日までに覚えておきなさい」
バサッと渡されたのは掟に関する書物だった。
「あ、明日までに!?」
「できませんか?」
「頑張ります」