天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
何がおかしいのよ。まったく。
隙を見て鋭く睨むとさらに笑みを深めた。
「私をほんとうに皇太子と思っているのか」
「思ってます」
「嘘だな」
「嘘じゃありません」
「では、その顔はなんだ?ん?」
笑いながら顔をつつかれる。
ほんとーに馬鹿にしてるのね。
「あの日の態度と大して変わらんな。」
「あの時は、ちょっと間違えただけです」
それを聞いてまた吹き出す。
「実に面白いやつだな。侍女にして正解だった」
「面白くありません」
「ところでその下手くそな敬語はなんだ?私といるときはあの日のように普通に話せ」
「できません。掟とやらで殺されます」
「では私と二人の時だけだ。よいな」