天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「納得したな」
「ええ。教えてくれてありがとう。えっと皇太子殿下」
「紅蓮だ」
「え?」
「私の名前だ。敬称もいらん。紅蓮。白蘭にはそう呼ばれたい」
まっすぐ目を見つめられ心臓が小さく跳ねた。
「紅蓮」
「よろしい」
紅蓮に頭を撫でられさらに心臓が跳ねた。
「わ、私、部屋に戻る!」
「お、おいっ!」
紅蓮が引き留めるのも聞かずに急いで部屋へ戻る。
あの皇太子はなんなの。距離感おかしいんじゃないの。
鏡に映った自分の顔が予想以上に赤くなっているのを見て動揺する。
あんなことしていたら誰だって顔くらい赤くなるわ。うん。そうよ。
その日はなかなか寝られなかった。