天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
全然眠れなかった。
「白蘭」
「雪梨様。おはようございます」
「ええ。おはよう。昨日の…」
「あっ!雪梨様今日は急ぐんです。お話は後ほど!では失礼します」
まずい!あの顔は掟を覚えたか確認する顔よ。何回も叱られてきたからタイミングまでわかってきた。
話を無理やり終わらせて皇太子宮へ急ぐ。
侍女は朝起きて四人で皇太子宮で殿下に挨拶してから仕事を任される。お茶入れなど皇太子の傍に仕える役はいままで炎狐族の双子がやっていた。
今日もきっとそうなるのだろう、別にいいけどあの双子の勝ち誇った顔だけは腹が立つのよね。
四人で挨拶をし今日の配分を待っていた。あいかわらず双子はニヤついた顔で私を馬鹿にしてきたが無視をした。
「本日の仕事は蘇芳と璃桜は母上の宮へ行き掃除の手伝いを。香林は魔都にて視察を。白蘭は茶と墨を磨ってくれ。」
「「殿下!!」」
皇太子がいつもと違う指示をだしたことに双子が声をあげたが、すぐに皇太子が言い返す。
「何か問題があるか。困ったことがあれば雪梨に聞くといい。仕事にあたれ」