天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「あっそ。やる気?」
私も筆をとり紅蓮の頭につけようとするのを紅蓮が術で筆を止める。
「法術使うなんて卑怯よ!!」
「使わないなんて誰も言っていないぞ」
勝ち誇った顔で笑う。
さすが皇太子だけあるわ。法術得意な私でもびくともしない。
「何をやっているのです」
そんな紅蓮とのやりとりに雪梨様がきていることに気づかなかった。
「殿下?」
雪梨様の言葉に紅蓮が術を解く。
乳母だけあって、さすがの皇太子も大人しくなった。
私はというと術を解術されて紅蓮をにらみつける。
「白蘭。顔に墨が付いていますよ。洗ってきなさい」
「あ、はい。雪梨様」
雪梨様に言われて私はしかたなく洗い場に向かった。