天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
いうと雪梨は歯切れわるく言葉を口にした。
「あの者は私に似ているのです」
「白蘭が?雪梨に?」
二人は似ても似つかないぞ。
「かつての私は自由を好み各地を飛び回って静かに過ごしていました」
梟族は一族で過ごすことが少ない。各自自由を好み暮らすという。そのためか梟族は終息がつかめず希少と言われている。
「しかし現魔帝殿下が皇太子だったころ新夜祭で私が侍女に選ばれました。自由を好む梟族の私がこうして魔宮入りしたのです。白蘭を見るとあの頃の自分を見ているようです」
その時のことを思い出すかのように雪梨は目を瞑った。
「魔宮入りしたこと、後悔しているか?」
聞くと雪梨は目を開け私を見て笑った。
「いいえ。しておりません。乳母として紅蓮様に仕えることが出来ましたし白蘭という楽しい女子にも出会えましたので」
「そうか。では私も白蘭に後悔がない魔宮生活を送らせるとしよう」