天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
雪梨から父と母が呼んでいるというので、謁見の間にきた。
謁見の間には父上、母上、それに許嫁の玲心がいた。
「父上、母上、ご挨拶を」
「よい。顔をあげよ」
威圧的な声。この魔界の絶対的君主、魔帝が私の父だ。
「魔后から八咫烏一族の娘を侍女にしたと聞いた」
ついにきた。白蘭を侍女にして時は経つがいままで触れてこなかった。このままお咎めなしだと安堵していたが、そうではないようだ。
おそらく炎狐族の双子から様子を聞いた玲心が母上に頼み父に言ったのだろう。
「何か問題でも?」
「八咫烏一族のような身分が低いものに興味を持つなど…魔界の皇太子にあってはならない。これでは玲心との婚儀をはやく考えねばならんな。玲心を娶ればお前も自覚を持つだろう」
「陛下、それは良い考えですね」
父と母が婚儀を進めたいと言い隣で玲心が嬉しそうに微笑んだ。