天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
兎を抱き怪我の様子をみる。
「月影様っ。私のことよりも天帝陛下と天后陛下にご挨拶にいかなければ」
「父上と義母上は私のことなど忘れておられる。挨拶よりも怪我を治療しよう」
蘇生術を使い兎月の足を直すと、兎月は申し訳なさそうにした。
「申し訳ございません。月影様。いつもいつも私のために蘇生術を。」
「よいのだ。力を持っていても使わねば意味がない。では、ご挨拶にいくとしよう」
着替えを自分ですまし兎を従えて、天宮へ向かう。
「見ろ。月影様だぞ」
「また、あのような兎を従えておる」
「長子でありながら皇太子にもなれぬゆえ兎しか従わぬのであろう」
「母親は罪人なのだぞ。命があるだけありがたいものだ」
天宮からでてきた貴族の従者達がコソコソと話しをしているのが聞こえる。