天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「月影様ぁ」

「よいのだ。兎月。私は父上と義母上に挨拶してくる。ここで待っていなさい」

「はい」


心配性の兎は大人しく私の言うことに従う。


天宮へ入り、父上とは義母上に礼をした。


「父上、義母上にご挨拶を」

「来たか。月影。」


顔をあげると、水狐族である天后の義母上が意地悪く笑っていた。


「毎日来なくてもよいのだぞ。あの兎と共に書物でも読んでいればよいのだ。」

「…」

「天后。やめよ」


黙る月影に天帝が天后を静かにいさめた。


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