天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「天帝陛下。二千年前のことをお忘れですか。月影の母親が謀反をおこし処刑されたのを。月影は命があるだけで良しとすべきです」
天后が天帝に言うと天帝は黙り込んだ。
「父上、良いのです。母上が罪人なのは誰もが承知の事実です。母上の罪はこの月影が償いますゆえ」
「兄上ではないですか!!」
声がし振り向くと異母兄弟の氷輪(ひょうりん)。
キラキラと嬉しそうに笑い私に近づいてくる。
「兄上!お久しぶりです!」
「ああ、氷輪」
「あ、父上と母上、ご挨拶を」
礼をとると天帝と天后は月影と真逆の態度を氷輪にとった。
「来たか。氷輪」
「氷輪、もう少し近くで顔を見せておくれ」
「はい!母上」
何度もその様子は見てきたが、やはりあまりの違いに胸が痛む。