天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「そのようなことはいけません」
明明が少し顔を赤くしながらすぐに兄上に反論する。自分からは言わないが明明は兄上のことを好いている。
「まったく。固いな明明は。共に育った仲だ。幼い時と同じく接してくれ」
「ですって。明明」
肘で小突いて明明をからかうと「やめてください」と明明が睨んでくる。
「それよりも二人に渡したいものがあるのだ。受け取ってくれ」
兄上が自分の着物の袖から簪を二本取り出し私と明明に差し出す。
「わあ~!感謝します。兄上」
素直に受け取る白蘭とは別に侍女の明明は戸惑った。
「受け取れません秋月様。私のような侍女にはもったいないです」