天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~

紅蓮の許婚

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あの日を境に紅蓮は私のことを傍に置くようになった。


墨磨りやお茶を淹れるのは今では私の仕事だ。


「はい。お茶ですよー」

「ずいぶんうまくなったな。最初のはまずくてひどいものだった…」

「ちょっと!素直にありがとうって言えないわけ?」

「侍女に礼を言う皇太子がどこにいる」


ああ言えばこう言う。


「これは?」

「っちょ、ちょっと!」


突然紅蓮が私の手を握り今朝できた傷を見て聞いた。


実は魔宮に来てからは階級の低い侍女にもからかわれ、はじめは小さな嫌がらせだったが最近ではそんな小さなことでは済まなくなっていた。


今朝は私の部屋の前に火炎術が仕込まれていた。


咄嗟に防御したが手に怪我を負った。


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