天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
廊下に出ると扉の前で誰かと鉢合わせた。
新夜祭で私を捕らえようとした人だ。たしか玲心といったか。
「無礼な!」
「一介の侍女が玲心様に礼も尽くさぬとは」
「失礼いたしました。侍女の白蘭が玲心様にご挨拶を」
玲心に付き添っていた双子の炎狐族の娘に言われてハッとし慌てて跪いた。
おそらく相当、身分の高いお方だ。
それにしてもなぜこの二人が玲心様についているのだろうか。
「…白蘭?あの八咫烏の?」
冷たい視線のまま玲心は私に声を掛けた。
新夜祭のことを思い出し背筋が凍った。
「そうでございます玲心様」
「卑しい身分のくせに皇太子殿下の侍女になった、あの白蘭でございます」
八咫烏一族が卑しい身分ですって!?
双子の侍女に言われ今すぐやり返したかった。
だが玲心いるここで問題はおこせない。奥歯をギリッと噛み侮辱に耐えた。