天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「なんだ、雪梨様かあ。驚きました」
「…なんだはないでしょう」
「す、すみません」
「誰かここにいたのですか?」
「あ、今、玲心様と双子が」
玲心様と口にすると雪梨様は眉をひそめた。
「玲心様…ですって?」
こくりと頷く。何かいけなかったのだろうか。
「白蘭。玲心様には無礼がないように特に気をつけなさい。あの方は皇太子殿下の許婚であり炎狐族の長です」
あの人が紅蓮の許婚?
チクリと胸が痛んだ気がした。
「白蘭?」
「あ、わかりました」
「…気を付けるのです」
炎狐族の長だから、あの双子とも一緒にいたんだわ。
真剣そうに言う雪梨様にもう一度頷いて部屋へ戻る。