天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
---------------------------------------
私と紅蓮は共に育った。魔后が炎狐族の者だったことや私が次期長になることが決まっていたことなどで許婚になるのは当たり前だった。
紅蓮は非の打ち所がない男だった。皇太子としての力量も美しさも戦での功績も魔界の者は誰も敵わない。
出会ってすぐに紅蓮に恋をした。
私の一族も魔后も魔帝も皆が口をそろえて私と紅蓮の婚姻を認めていた。
ただ当の紅蓮だけが認めなかった。
私が魔宮に留まり会いに行っても宴に招待しても文を書いても返ってくるのは、当たり障りのない言葉ばかりだった。
婚姻は一族同士の利益のためにするものだ。わかっているが、ここまで避けられるのも辛いものがある。
「魔后殿下にご挨拶を」
「ああ、玲心よ。紅蓮とはどうだ」
「相変わらずです」
「…そうか。だが、紅蓮も皇太子として自覚している婚姻すれば心も通じ合うであろう」
「はい。魔后殿下」
そう。先は長い。婚姻すればきっとうまくいく。
そう思っていた。なのに新夜祭の時、いままで完璧だった紅蓮がはじめて選択したのだ。
私と紅蓮は共に育った。魔后が炎狐族の者だったことや私が次期長になることが決まっていたことなどで許婚になるのは当たり前だった。
紅蓮は非の打ち所がない男だった。皇太子としての力量も美しさも戦での功績も魔界の者は誰も敵わない。
出会ってすぐに紅蓮に恋をした。
私の一族も魔后も魔帝も皆が口をそろえて私と紅蓮の婚姻を認めていた。
ただ当の紅蓮だけが認めなかった。
私が魔宮に留まり会いに行っても宴に招待しても文を書いても返ってくるのは、当たり障りのない言葉ばかりだった。
婚姻は一族同士の利益のためにするものだ。わかっているが、ここまで避けられるのも辛いものがある。
「魔后殿下にご挨拶を」
「ああ、玲心よ。紅蓮とはどうだ」
「相変わらずです」
「…そうか。だが、紅蓮も皇太子として自覚している婚姻すれば心も通じ合うであろう」
「はい。魔后殿下」
そう。先は長い。婚姻すればきっとうまくいく。
そう思っていた。なのに新夜祭の時、いままで完璧だった紅蓮がはじめて選択したのだ。