天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
そもそも、このような小競り合いに皇太子が赴くのがおかしいのだ。
はやく終わらせて白蘭の茶を飲もう。
「…そうしよう」
「え?ちょっと!紅蓮様!!」
朱雀が慌てる声を後に私は飛行術で空を飛び、戦場の中心に降り立った。
「鳳凰だ!!!」
「魔界の紅蓮だ!」
私に気づくと天界の者が後ずさりする。
天界の指揮をとっていたのは神籍を持つものでもなく、貴族の者でもなかった。
なんともなめられたものだ。
「遠くから指揮をとっていたが、あまりに退屈でな。自ら出向いた。」
姿を現したのを見て、天界はすっかり戦意を失ってしまったようだ。
「戦う気のないものを殺生する気はないが、私の紅蓮業火で焼かれたいのなら相手になろう」