天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


そして手のひらに簡単な火炎術で炎をつくって見せる。


「紅蓮業火だ!」

「逃げろ!!」


ただの炎を見せるだけで天界の者は逃げ出していった。

これが紅蓮業火…か。

手の平にある、ただの炎をみて笑う。


「紅蓮様…何が?」


いまさら飛行術で追いついた朱雀が隣にきて聞いた。


「これだ」

「...ただの炎術…ですか?」

「ああ、これを見て逃げて行った」


あの慌てた顔を思い出し笑うと朱雀も笑った。

はじめからこうすればよかったのだが、一応軍を引いてきたからにはそうはいかなかった。


「少し遊びすぎたな。もうだいぶ時間がたってしまった」

「そうですね。早く帰って寝たいです。」

「仕事しろ。仕事。」

「してますよ!いつも朱雀軍引っ張ったり紅蓮様のお手伝いしてるじゃないですか!」


不満げに朱雀が食って掛かってくる。


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