天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「わかった。わかった。お前はいつもよく働いている」
「そうでしょうね」
「もう一仕事だ。私は先に帰る。ではな」
「はっ!?え!?紅蓮様!?」
朱雀と軍を残してすぐに飛行術でその場を後にする。
朱雀は真面目なやつだから、軍を率いてゆっくり帰ってくることだろう。
…すっかり日が落ちてしまったようだ。
皇太子宮に戻る途中雪梨に会った。
「紅蓮様。お早いお帰りで」
「ああ。私が出向くほどの戦ではなかったからな」
「朱雀軍は…」
「あー、後から来ることだろう。負傷者はいないから安心しろ」
「そうですか」
さすが雪梨。私が一人でさっさと帰ってきたことを見破っている。
梟族は特に夜目が利くからな。