天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
「白蘭。」
部屋の前で名前を呼んだが返事がない。
「私だ。紅蓮だ」
返事がない。部屋の前でしばらくうろついてみたが開く気配はない。
ん?私がなぜ侍女の返事を待たねばならないのだ。
部屋にそっと入る。
「おい。白蘭、寝てるのか?」
部屋では白蘭が静かに寝ていた。
その傍らに座り見つめる。
静かに寝息を立てて眠る姿は普段の活発さとは真逆だ。
頬をつつくと迷惑そうに眉間に皺が寄った。
「ふっ…」
思わず顔が緩む。