天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
そんなわけないでしょ。それにしてもひどい味。
言い返そうとしたがやめた。
皇太子の紅蓮がはじめてつくってくれた料理なんだろう。だからこんなに不器用な出来なのだ。
「まずいなら食べなくても良い」
「もう、全部食べた」
おにぎりを全部自分の口に押し込み飲み込んだ。
その姿を見て信じられないという顔で紅蓮は笑った。
「ずっと疑問に思っていたが…その、それは誰の風切羽だ?」
紅蓮が私の首飾りを指さした。
「ああ、これは父上の風切羽よ。魔宮にくるときにいただいたの。」
「そうか」
答えると紅蓮は安堵したような笑顔を見せた。