天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
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【天界】


紅蓮にもらった食事を兎月と分けて食べ、今日も天帝と天后に挨拶に行こうと支度をしていた。


「魔界と天界の境で戦が起きたようですよ。怖いですね」

「そうだな」


小さい戦だったようだが、紅蓮が紅蓮業火でしずめたという話だ。


「魔界の皇太子が紅蓮業火で勝利したとか…。」

「紅蓮業火で勝利したというのは嘘だ」


小さく震える兎に笑って答えた。


「どうしてですか?月影様」

「紅蓮業火は凄まじい術だ。防いだとしても熱風が天界まで届くことだろう。そのような術を小さな戦で使うはずがない」

「そうですか。よかったです」

「そういえば紅蓮が今度新月の時に兎月も来るように言っていた」

「嫌です!魔界の鳳凰なんて見たら気絶しちゃいますよ」


慌てる声に笑いながら服を整えた。


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