俺だけのものに…







「…す、好きな人がいて…
明日の後夜祭に告白しようと思ってるんです!それで、どんな感じで告白したらいいか迷ってて……先輩モテるから参考になるかな〜って……」



……



……



……



あまりの衝撃で一瞬思考が停止したが、好きな人がいるって


今確かにそう言ったよな?


告白しようと思ってるって……


名前を知れて
話を出来て
連絡先を交換して
仲良くなって
段階を踏めば付き合えるんじゃないかと思ってた。



俺はバカだ。
何で1番大事な"彼女の気持ち"を知ろうとしなかったんだ……






「あ、あの、ごめんなさい!急に!
でも参考になりそうな人が海里先輩しかいなくて…」


彼女の声で我に返る。


「あ、あはは
ほんと急でびっくりしたよ」


「ですよね…ごめんなさい」


少し悲しそうな顔をする結ちゃん。


「大丈夫だよ。
…告白……」


しないでくれ。


そう一言言って告白したら


彼女は振り向いてくれるんだろうか……





今からでも…………





「海里先輩?」


じっと下から見つめられる。



「あ、ごめん。
…自分の気持ちをそのまま素直に伝えたらいいと思うよ。
それが1番嬉しい告白だと思う。」



今出せるだけの精一杯のことばと笑顔で返事を返す。



「…そっか!何だか勇気が湧いてきました!ありがとうございます先輩!」


嬉しそうにニッコリと笑うその笑顔にドキッとして……


胸が痛くて。


息が苦しくて。



大好きなはずのその笑顔を見るのが今は辛い。






俺は告白する前に失恋したんだ。




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