俺だけのものに…
「次時間割変更で体育だってよー」
智希がだるそうに俺の席まで来る。
何か全然やる気出ねえしサボるか……
「俺体調悪い気がするからサボるわー」
立ち上がって教室を出て保健室に向かう。
後ろから聞こえてくる、「このくそサボり魔が!!」という声は無視した。
ーガラッ
保健室の扉を開けるとあの子がいた。
急に自分の好きな人が目の前に現れたせいで俺の心臓はバクバクで動きは停止。
目の前の彼女も急に扉が開いたからビックリしたのかこっちを見て固まっている。
「あ…あの……」
彼女の今にも消え入りそうな声が耳に届く。
綺麗な声。
高すぎす低すぎない女の子らしい澄んだ声。
初めて聞いた彼女の声……
「……大丈夫ですか?」
全く動かない俺を不思議に思ったのか声を掛けてくれる彼女。
「あ、うん、大丈夫」
「それなら良かったです」
ニコッと可愛らしい笑顔で笑う彼女。
あまりに可愛すぎて目をそらすと彼女の指先から血が出ているのに気が付いた。
「指、どしたの?」
「あ、さっきカッターで指切っちゃったんです」
"私ドジなんで"と照れ笑いする彼女。
指先からはかなり血が垂れていて地面にポタリと落ちた。
保健医は今いないみたいで
1人で手当するには大変そうだ。
「とりあえずここ座って」
手当用の椅子に座るよう促す。
彼女は素直に聞いてくれて椅子に座る。