俺だけのものに…
ガーゼと消毒液と絆創膏を取り出して彼女の前の椅子に座る。
「あ、あの!自分で…「いいから、片手じゃやりずらいだろ」
彼女が言い終わる前にそう言うと少し困った顔で、申し訳なさそうに「…ありがとうございます」と小さな声が聞こえた。
ガーゼに消毒液を染み込ませて傷口にそっと当てる。
染みるのか涙目で顔を歪める彼女。
触れてる細い指も、涙目の顔も
可愛くて愛おしくて堪らない。
心臓がバクバクと壊れそうなくらい鳴ってる。
落ち着け……
落ち着け……
気付かれないように深呼吸して心臓を落ち着かせる。
血がある程度止まった所でガーゼを取って絆創膏を貼って手当は終了。
「ありがとうございます!
すごく助かりました!」
「このくらいいいよ。
まだ血出てくるかもだから絆創膏持ってて」
箱から数枚の絆創膏を取って彼女に渡す。
「ありがとうございます!
あ、あの私、篠宮 結って言います!先輩のお名前聞いてもいいですか?」
まさか名前を知れるとは思っていなくてビックリして持っていた絆創膏の箱を落としてしまった。
彼女が箱を拾ってくれて手渡してくれる。
「あ、悪い。
俺は佐藤海里」
「じゃあ海里先輩って呼びますね!
手当ありがとうございました!授業あるので行きますね。海里先輩もお大事に!」
そう言うと笑顔で手を振って保健室から出ていった彼女。
「やっっべぇ……まじで可愛いすぎんだろ…」
破壊力が半端なさすぎる…
ただサボりに来ただけなのに
まさかこんな展開になって名前までも知れるとは思わなかった。
今日の俺は頑張ったと思う。
名前知れたんだし、これからは声もかけやすくなる。
「ちょっと頑張ってみるか…」
これからは見かけたら声かける事を目標に少しずつ仲良くなっていこうと決めたーーー