響き渡る空の下で、きみへの想いを歌う。

 吐く息に声を乗せて、メロディに言葉を乗せる。

歌奈(うたな)ちゃん……それ、ひどすぎるよ……?』

 軽蔑(けいべつ)するようなクラスメートたちの瞳と、凍てつくような教室の空気。

 あの瞳と、あの時の血の気が一気に引いていくような感覚は、なにがあっても忘れられない。

 ううん。

 忘れちゃいけないんだ……。

 わたしが悪いから。

 さっきから散らつく残像がうざったい。

 脳裏に染み付いて、海馬(かいば)にしっかりと刻まれていて、離れていかない。

 わたしはもっと激しく、もっと声を荒げて歌に集中した。


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