社長、それは忘れて下さい!?
龍悟の甘く掠れた言葉にまた囚われてしまう。ただのお世辞だとしても、そう言われて無反応でいられるほど涼花は褒められ慣れていない。ますます火照った顔色を悟られまいと思うと顔を上げられなくなってしまう。
そっと手を伸びてきた指先が、涼花の肩に触れる。細い肩を包むレースの生地は淡いブルーで、撫でるとさらさらと風の音を立てた。
「……綺麗だ」
夜景の話だと思っていた『綺麗だ』の台詞と、笑顔の話が唐突に結びつく。
射止めるような捕らえるような甘美な言葉に、体温が急上昇する。薄着のはずなのに、顔を中心に全身に炎が広がったように熱い。
思考まで焼け焦げたように、言葉が何も出てこなくなってしまう。このまま龍悟にばかり喋らせてはいけないと、熱い警告音が脳の奥から響いてくる。
何か言わなければ、と思った涼花の脳裏に、ふと謝罪と感謝の言葉が降りてきた。それはずっと、龍悟に対して伝え損ねていた言葉だ。
「あ……あの、社長……」
「ん?」
「えっと……実は私、ずっと社長に伝え忘れていたことがあって」
前にも同じことを伝えようと試みた。だがエリカからの連絡のタイミングが悪く、龍悟の機嫌を害してしまい、あの時は伝え損ねていた。
もう今さらな気がするし、伝えたところで龍悟も困ってしまうかもしれない。だが涼花が勘違いをしてしまう前に、この妙に甘い空気は打ち破らなければならない。
そう思うと、これは良い機会であるとさえ思えた。
そっと手を伸びてきた指先が、涼花の肩に触れる。細い肩を包むレースの生地は淡いブルーで、撫でるとさらさらと風の音を立てた。
「……綺麗だ」
夜景の話だと思っていた『綺麗だ』の台詞と、笑顔の話が唐突に結びつく。
射止めるような捕らえるような甘美な言葉に、体温が急上昇する。薄着のはずなのに、顔を中心に全身に炎が広がったように熱い。
思考まで焼け焦げたように、言葉が何も出てこなくなってしまう。このまま龍悟にばかり喋らせてはいけないと、熱い警告音が脳の奥から響いてくる。
何か言わなければ、と思った涼花の脳裏に、ふと謝罪と感謝の言葉が降りてきた。それはずっと、龍悟に対して伝え損ねていた言葉だ。
「あ……あの、社長……」
「ん?」
「えっと……実は私、ずっと社長に伝え忘れていたことがあって」
前にも同じことを伝えようと試みた。だがエリカからの連絡のタイミングが悪く、龍悟の機嫌を害してしまい、あの時は伝え損ねていた。
もう今さらな気がするし、伝えたところで龍悟も困ってしまうかもしれない。だが涼花が勘違いをしてしまう前に、この妙に甘い空気は打ち破らなければならない。
そう思うと、これは良い機会であるとさえ思えた。