社長、それは忘れて下さい!?
「時間が経ってしまいましたが……私、社長にちゃんと謝罪をしようと思っていたんです」
「……謝罪?」
「はい……その……申し訳ありませんでした」
顔の熱が少しは引いてくれているのを願いつつ、視線を上げて目を合わせる。何のことを言われたのか分からなかったようで、目が合った龍悟が一瞬眉根を寄せた。
けれどこの機を逃したら、今度こそ永遠に謝罪も感謝も伝え忘れてしまう気がして、涼花はそのまま言葉を続けた。
「私、以前の会食の席で、社長にすごく迷惑をかけて……ひどい状態だったのに、たくさんお世話をしてもらって……」
説明しているうちに、龍悟も何の話をしているのか気付いたようだ。涼花が言葉を切ると、また優しい顔で微笑んでくれる。涼花の話をちゃんと聞いてくれる合図だ。
「なのにそのことを忘れてしまっていて、謝罪もしていなくて……。あの時はご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした」
本来は上司を陰から支えるはずの秘書が、上司の手を煩わせることなどあってはならない。龍悟は自分の所為だと責務を感じているようだが、適当な病院に捨て置いても良かったところを、わざわざ自分のプライベート空間に招き入れてまで手厚く看護してくれた。だから責任なら十分に果たしているし、謝罪や謝礼はいくら述べても足りないほどだ。
「ほんと真面目だなぁ。お前が罪悪感を感じる必要はないだろう。あれは忘れたんじゃなくて、最初から意識がなかったんだ」
「……謝罪?」
「はい……その……申し訳ありませんでした」
顔の熱が少しは引いてくれているのを願いつつ、視線を上げて目を合わせる。何のことを言われたのか分からなかったようで、目が合った龍悟が一瞬眉根を寄せた。
けれどこの機を逃したら、今度こそ永遠に謝罪も感謝も伝え忘れてしまう気がして、涼花はそのまま言葉を続けた。
「私、以前の会食の席で、社長にすごく迷惑をかけて……ひどい状態だったのに、たくさんお世話をしてもらって……」
説明しているうちに、龍悟も何の話をしているのか気付いたようだ。涼花が言葉を切ると、また優しい顔で微笑んでくれる。涼花の話をちゃんと聞いてくれる合図だ。
「なのにそのことを忘れてしまっていて、謝罪もしていなくて……。あの時はご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした」
本来は上司を陰から支えるはずの秘書が、上司の手を煩わせることなどあってはならない。龍悟は自分の所為だと責務を感じているようだが、適当な病院に捨て置いても良かったところを、わざわざ自分のプライベート空間に招き入れてまで手厚く看護してくれた。だから責任なら十分に果たしているし、謝罪や謝礼はいくら述べても足りないほどだ。
「ほんと真面目だなぁ。お前が罪悪感を感じる必要はないだろう。あれは忘れたんじゃなくて、最初から意識がなかったんだ」