社長、それは忘れて下さい!?
4-0. Epilogue
驚いた。
これには本当に驚いた。
旭は涼花の龍悟に対する気持ちを知って驚いたらしいが、今の涼花はその百倍は驚いている自信がある。
「こんにちは。あなたが涼花ね?」
指定された待ち合わせ場所で待っていると、そこに旭の彼女だという人物が現れた。スマートフォンの画面からその人物へ視線を移した瞬間、涼花は驚きで後ろにひっくり返りそうになった。
「はっ、はじめまして。えっと、秋野涼花……です」
ぎこちない返事を何とか絞り出す。驚きを隠せない涼花の様子を見て、彼女は可笑しそうに笑い出した。
「ミーナよ、よろしくね。見た目は全然だけど、年齢の半分は日本で過ごしてるから中身はほぼ日本人よ」
流暢な日本語でそう言った女性の肌は陶器のように真っ白く、ゆるくウェーブのかかった金色のショートボブに、緑と青の中間色の瞳を持っている。身軽そうなストレッチパンツに高めのヒールを合わせてサマーニットを羽織った彼女は、にこにこと笑いながら涼花を近くのカフェに誘い出した。
(藤川さん! 恋人が外国の方なんて、聞いてないです……!)
涼花は焦ったが、ミーナは涼花のような反応に慣れているのか、特に気に留める様子はなかった。
「その様子だと旭から何も聞いてないのね」
「ええと……申し訳ありません」
「涼花が謝ることじゃないわ。旭の事は後でちゃんと叱っとくから」