社長、それは忘れて下さい!?

 涼花の下着の色を確認すると、龍悟が感心したように呟く。もちろん下着は色を問わず様々なものを所持しているが、オレンジは肌の色に近く外に響きにくいので、特に仕事の時は多用している。勤務中は更にインナーを一枚着込んで万が一にも透けないようにしているが、汗をかいたので今日はもう更衣室で脱いでしまっていた。

 思わず目を閉じる。だが龍悟は構わずに涼花の脇腹から手を入れて、今度は背中にあったホックを取り払った。縛りを解かれると、開放感を待ちわびたように、胸がふるりと揺れる。その胸元をじっと見ていた龍悟が、楽しそうな声を零した。

「随分大きいな。辛くないのか? これだと結構締め付けてるだろ?」
「だ、って……秘書が、変にいやらしいと……嫌な噂に、なるかもしれないと……」

 涼花が極度の恥ずかしさに耐えながら答えると、龍悟はまた一つ納得したように

「俺や旭を気遣ってるのか? 優しいな、えらいえらい」

 と涼花の頭を優しく撫でた。

 確かに下着はボリュームを抑える構造のものを選ぶようにはしている。もちろん龍悟や旭に変な噂が立たないよう気を付ける意味もあるが、自己防衛の意味もある。

 ささやかな努力を知られてしまったことと、頭を撫でられた気恥ずかしさから視線を逸らす。すると龍悟の大きな手が下着と胸の間に滑り込んできた。
< 33 / 222 >

この作品をシェア

pagetop