社長、それは忘れて下さい!?
驚いた龍悟が名を呼ぶと、涼花がぼーっと目を見つめてきた。それからうわ言のように
「……あつ、い」
と呟く。
「から、だ……あつ、ぃ……」
涼花が切なそうに訴えるので、逡巡した後、結局はボタンを外すのを手伝った。全てのボタンを取り払って前立てを開くと、涼花は先日と異なり、インナーとしてキャミソールを着込んでいた。
なるほど、暑いわけだ。
しかしこれも気遣いと自己防衛からの忍耐なのだろうと気付き、龍悟は密かに感服した。
「脱がせてやるから腕上げろ。出来るか?」
「しゃ、ちょ……」
「暑いんだろう?」
龍悟の確認に、涼花は再度こくんと顎を引いた。
吐き気はないようなので、涼花の身体を起こすとその背後に回る。案の定支えがないとほんの数秒も安定していられないようで、涼花の背中に胸を貸すとすぐに体重を預けてきた。
「ほら、脱がせるぞ」
断りを入れると、シャツを脱がせてキャミソールを捲し上げていく。脱力した腕を操って頭から薄いインナーを剥ぎ取ると、龍悟の目の前には以前も目にした豊満なふくらみが姿を現した。
先日のオレンジ色の下着ではなく、今日は薄いラベンダー色に花の刺繍が施された下着を身に着けている。
下着の後ろの留め具を外すと、弾けるように胸が揺れる。龍悟は涼花の胸を注視しないよう視線を逸らすと、自然に生じた生唾をごくりと飲み込んだ。