社長、それは忘れて下さい!?
Phase_3
3-1. Little smile
翌週明け。
出社してきた旭に謝罪すると、彼は『大丈夫だよ』と笑って許してくれた。
龍悟から聞いた状況を考えると、旭も涼花の身体に起きた変化には気付いていたはずだ。追及されたらどう説明したらいいかと悩んでいたが、旭が何も言わなかったので涼花もありがたく触れずにいてもらうことにした。
次いで出社してきた龍悟には、とりあえず休んで迷惑をかけたことを謝罪した。龍悟も同じく『気にしなくていい』と笑ってくれたので、涼花は胸を撫で下ろした。
あとは二人になったときに、介抱してくれた事への感謝と失礼な事をしてしまった謝罪をしようと思う。だが今日の社内巡回への同行は旭の担当で、涼花は執務室残留なので、その機会はもう少し後になるだろう。
朝のスケジュールの確認を終えると、タブレット端末を操作していた旭が思い出したように顔を上げた。
「あ。そうだ、涼花。真悟さんからコーヒー豆届いてたよ。エチオピアで新しい農場開拓したんだって」
「え、そうなんですか?」