社長、それは忘れて下さい!?
3-4. Secret plot
GLSの新店舗オープン記念パーティーの日が近付いてきた。パーティーにはルーナ・グループ各社の役員を筆頭に、取引先の重役やその家族、個人的に親交のある者、他店舗の店長やメディア関連などから総勢二百余りを招く予定だ。当日は新しい店舗を開放し、目玉商品であるスイーツやドリンクが立食式で振舞われる。
準備はおおよそ終えているが、旭が企画部と協力して何かの催しを考えているらしく、このところ不在が多い。当然龍悟もそれは把握しているが、詳細を訊ねても二人は『そのうちわかる』と涼花を諭すだけだ。
涼花は気が抜けない日々が続いていた。旭の不在は龍悟の指示だが、それに伴い移動時や執務室内で龍悟と二人きりになることが増えた。
元々書類関係は案件ごとに分担していたが、スケジュールに関しては三人で共有した上で旭が龍悟に付き従い、涼花が来客対応や他部署との連絡を行う場合が多かった。
旭はパーティーの準備中も自分が担当した書類処理は通常通り行っていたが、龍悟に追従して立ち回る役割が涼花に大幅に移行したため、現在もこうして執務室で二人きりになっている。
「雨だと気が重いな」
取引先との電話を切った龍悟が溜息交じりに漏らした。聞いていた会話の内容から気が重いのは天気のせいだけではないことはわかっていたが、龍悟が愚痴を言わないので涼花もさらりと受け流した。
「そうですね。パーティの日は晴れると良いのですが……」