キャンディーと恋で私を溶かして。


「あの、この前のお返しなんですけど、何をしたら良いですか?」




「…ここにいて」




「えっ?」




「…昼休み終わるまで寝るから、時間になったら起こして」




「…それってつまり、相川君を起こす係で呼ばれたってことですか?」




「そういうこと。朝は授業前だから仕方なく教室で寝てるけど昼休みは1人で寝たいから」




「1人で寝たいなら私、いない方がいいんじゃ」




「…僕、1度寝始めたら中々起きられないの。誰かさんが授業は出なきゃいけないって言ってたから。起こしてよ」



うっ。誰かさんって遠回しに言ってるけど、それ、私じゃん。



「確かに、私そう言いましたけど!」




でもよく考えたら、飴貰っちゃったの私か。

相川君も好意でくれたんだもんね。

…今日だけだし。

分かりましたって返事をしようとしたら。




「…古都、お願い」




いきなり私の名前を呼んで。

私の腕を掴んで。

私のこと見つめて。

その綺麗な茶色い瞳には私が映っていて。



男の子に名前で呼ばれることなんてないし、こんな近づいたことなんてない。


ちょろいと分かっていても心臓がドキドキ鳴ってしまう。



「…わ、分かりました。ここにいます」



そんな私を見て面白かったのか、相川君はフッと笑ってすぐ横になった。


初めて見た相川君の笑顔は意地悪な物だったかもしれないけどすごく惹き込まれて。


昼休みの直前、相川君を起こすまでずっと頭から離れなかった。



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