キャンディーと恋で私を溶かして。
入部届けをしっかり出して。クラスに戻ろうと思ったとき。
なんでか分からないけど、隣の家庭科室が気になった。
先生がいないことを確認して、こっそり扉を開けて。
「すごい!調理器具がいっぱいある!」
たくさんの調理器具に目を取られていた私は人がいることに気が付かなかった。
「…誰?」
「うわああああ!」
だるそうに髪をくしゃくしゃと掻いて。
そこで寝てたかのように起き上がって近づいてきた。
「あ、あなたこそ誰ですか!こんな所で寝てた…みたいだし」
そう言うとその男の子は私の事をじっと見て。
「…僕のこと知らないの?」
「し、知りませんよ!まだ入学したばっかりだし、同じクラスの人もまだ覚えられてないし…」
「…ふぅん。僕は相川蓮。君は?」
相川蓮と名乗った男の子は艶のある黒髪に、綺麗な顔立ちで不思議な雰囲気があった。
そのかっこよさに私は一瞬みとれてしまった。
「…あっ、私は広瀬古都です。1年生です」
「…古都ね」