金曜日はキライ。


日差しの強さに目がまわりそう。

ソフトボールの一回戦目のあいさつが終わってベンチに戻ると志保梨ちゃんが隣に座ってきた。


「さっき、大丈夫だったかな?」

「あ…心配かけてごめんね」

「もーそうじゃなくって。大丈夫だったか大丈夫そうじゃないか聞きたいの。何もされてないもん、あやまらなくていいんだよ」


にこりと微笑まれて目が熱くなった。泣いてしまいそうなくらい心細い。

常盤くんからの言葉、うれしかったのに何も言えなかった。ありがとうさえ言えなかった。それに、日葵にうそをつかせてるのも嫌な気持ちにさせているのもわたしのせいだった。


「大丈夫…」

「うん」

「…じゃない……」

「うん、そっか」


こんなに人を好きになったの、初めてなの。

だからどうしたらいいのかわからないよ。本当は日葵に一番話したい。聞いてほしい。言えない。言いたくない。だけどもう、自分の中にだけしまってるのがむずかしい。

くるしい。



「清雨のことが、好き?」



周りには聞こえない小さな声で。

隠した心の中に尋ねるように、問いかけられる。


「……好き」


大好きな親友にも言えないこの気持ちを、できたばかりの友達に言ってしまったことをすぐに後悔した。


「あ…今のは、ちがくて。常盤くんってみんなのことたくさん見てるし、自分より人のことばっかり優先するし、明るくて、えらいなあって憧れてるだけで…」

「前に話してくれた‟好きな人”じゃん、それ」

「……」

「ほろちゃん、へたくそ」


ごもっともな言葉がずしんと圧し掛かる。


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