金曜日はキライ。


試合は男女ともに順調に勝ち進んでる。他の種目の結果は半々みたいだけどいい成績を残せてると思う。

わたしは3振とかはないけど、ヒットを打てるときもあればアウトになってしまうこともあって4番らしい活躍はあまりできてない。男子の方は常盤くんが4番で大活躍をしてる。


お昼休憩になったからみんなの輪から離れて校舎裏の日陰のベンチで休むことにした。

だいぶ太陽が高くなってきてて、ちょっと疲労感が増してきてる。

お弁当は持ってきたけど食欲がなくてベンチの上に放っておいた。


「……」


志保梨ちゃんはあれ以上何も言ってこなかったし聞いてこなかった。

日葵とは会ってなくて、常盤くんとはお互い試合は見てるけど何も話してない。


だけどね、目が合うの。

今までわたしだけが送っていた視線に、常盤くんの視線が重なるの。


期待なんてしても無駄なのに、前よりずっと、近いような気がしてしまう。


「日葵……」



中学2年生の頃、日葵が不機嫌な顔で「塾の見学に行くことになった」と言ってきた。成績が下がってしまったことに対して日葵はなんとも思っていないようだったけど、日葵のお母さんとお父さんはそれを許さなくて半ば強引に連れてかれていた。

けど、次の日には「塾に行くことにした!」と満面の笑みを浮かべていた。それからすぐに、日葵の口からはわたしの知らない男の子の名前が零れ落ちるようになった。


< 142 / 253 >

この作品をシェア

pagetop