金曜日はキライ。
当時付き合っていた人とのデートの話しをするよりも楽しそうに塾の男の子の話しをする親友の中に芽生えていた気持ちには、すぐに気づいた。わたしが気づいてしばらくすると、その彼氏との関係を終わらせた。
親友が楽しそうに塾の話しをする。
仲良くなった男の子との会話をうれしそうに話してくれる。
ああ、いいひとなんだろうなあって、名前しか知らないのにそんな好印象を植え付けられた。
だってわたしの親友がこんなに幸せそうな顔をするんだもん。きっと素敵な恋の始まりなんだろうって思っていたんだよ。
日葵はその男の子のことを「好き」とは言わなかったけど、表情で、声で、言葉で、物語っていた。話しを聞いているとその男の子も恋を持って日葵と話しているんだろうって思った。
いつかふたりが付き合うようになったら、その時は紹介してもらおう。
そう思っていた。
高校が一緒になることを知ったのは中3の夏休みだった。じゃあきっとそれまでにふたりは付き合いはじめて、それから高校で初めて会って、わたしはその人に「大事な日葵をよろしく」って頼むの。
そんなふうに考えて、高校生になるのが楽しみだったのに─── 中学卒業後の春休み、日葵が付き合いはじめたのはその男の子の親友だった。
どうして、とか。
なんで、とか。
聞いたことないわたしは、親友の役目を果たせていない出来損ない。
「ほろちゃん、こんなところにいた」
食べられないままでいたお弁当をぼんやりと眺めていると頭上から声がした。見上げると眩しい日差しとともに千昂くんが立っていた。