金曜日はキライ。


探したんだよ、と笑って、わたしの隣に腰かける。


「食べないの?」

「あ…あまり食欲がなくて」

「そういえば夏バテしやすいって聞いてたなあ」


日葵が話したのかな。

常盤くんも千昂くんも、わたしのこといっぱい知ってる気がする。それくらい日葵はわたしの話しをしてくれてるってことなんだ。

それってとてもうれしいし、ちょっと照れる。


「千昂くん、探したって言ってたけど」

「ああ、さっきのこと、ほろちゃんが抱えることじゃないからねって言いに来たんだ。日葵とは俺が話すよ」


なにを話すの、とは聞けなかった。それは恋人たちだけの話しで、わたしが入っていい場所じゃない。


「…千昂くん、日葵は千昂くんのことが好きだよ」

「わかってるよ。大丈夫、ありがとう」


ありがとうはわたしのほうだ。こうして気にかけてくれて、ほろちゃんは悩まないでいいって言ってくれる。

だけどそんなわけがないんだよ。だってわたしは日葵の親友で、常盤くんのことが好きで、千昂くんのことだって友達だと思ってるんだから。

だからわたしは、こういう優しさに甘えていちゃいけないんだ。


ちゃんとしないといけない。

日葵に、自分の気持ちを言わないといけない。

このままじゃきっと離れてく。


人と話すことが苦手なわたしを、いつも支えてくれる人。
初めて友達になってくれた人。
うまく話せなくても、最後まで、頷きながら聞いてくれる人。
一緒にいると楽しい。
大好きだって思ってる。

ごめんねって、いつも思ってる。


本当はそんなこと思うこと自体、おかしいんだ。

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