金曜日はキライ。
ずっと聞けなかったこと。
「中学の時、日葵は塾で一緒で仲良しだった男の子のことが好きだったよね」
「……っ」
「同じ高校に通えることになったのもうれしそうに話してくれた。好きだって言ったことはなかったけどそんなこと言われなくてもわかってたよ。でもそれは千昂くんじゃなかったよね」
この話を聞いたら、わたしも打ち明けたい。
言わなくちゃだめだ。このままじゃもっともっとみっともない自分になってしまう。
もっと日葵との距離ができてしまう。そんなの嫌だよ。
小さい頃から日葵のことが大好きで、大事だった。その気持ちに変わりなんてない。
「やっぱり…バレてたかあ、わたしの気持ち」
泣き出しそうな声だった。
「うん、そう。塾が一緒だった清雨のこと好きだった」
ずっと聞きたくて、聞きたくなかったこと。
「でも清雨はそうじゃなかった」
「え…」
「だって簡単に千昂を紹介してきたんだもん。わたしと千昂が話してるの見てお似合いだとか言っちゃうんだよ。鈍感でさいてーだよね!」
へらりと笑みを作る日葵に赤色のハンカチを渡すと受け取ってくれた。だけど涙が落ちることはなかった。
常盤くんの気持ちが、なんとなく、わかってしまう。
くるしいくらいわかってしまう。
けれどそんなの、常盤くんのことが好きだった日葵には関係ない。きっとものすごく傷ついてきたんだと思う。
「でも千昂のことちゃんと好きになってから付き合ったよ。それだけは本当。清雨が叶わなかったからじゃないよ」
「わかってるよ、日葵、千昂くんのこと大事にしてるもん…」
「ふふ、よかった。清雨には素直に自分の気持ち言えずにあきらめちゃったから、千昂のことは簡単にあきらめないって決めてるの。けど昨日はそれが崩れそうになってて…清雨に頼っちゃった。喝いれられたよーっ」