金曜日はキライ。
待ち合わせに来られなかった常盤くんから、謝りのメールが届いてた。電話もいっかいだけかかってきてた。でもそれに何も返せないまま、誕生日のお祝いすら結局言えないまま。夏休みが終わった。
とてもとても長い休みだった。大キライな金曜日も土日もくらべものにならないくらい、常盤くんに会えない毎日はつらかった。
だからこそ、叶わなかったあの日がわたしの中で宝物だったの。楽しみだったの。
でもわたしじゃだめだった。
それにショックを受けて、常盤くんの気持ちに寄り添えなくて、日葵にねたみの感情を向けて、こんなのもうやめちゃいたい。
重たい足を必死に動かして、日葵の隣で学校に向かう。
「学園祭の準備もはじまるよね~。楽しみだなあ。ね!」
「うん、そうだね」
「今年は何やるかなあ」
ぼんやりしてる。
メール、無視しなきゃよかった。大丈夫だよって言えばよかった。会うのがこわい。もう話しかけてもらえないかもしれない。だって、常盤くんは、遠いから。遠くて、果てしなくて……なのに何度やめようと思っても、やめれない。
好き。
「あ、清雨!千昂!おはよーっ」
日葵の声にはっとした。弾かれたように顔をあげるともう学校の正門をくぐろうとしていて、そこで常盤くんと目が合った。
晴れた空。門の近くにある葉桜の木。千昂くんと笑い合って登校していた常盤くん。長い長い休み明けの、念願の、会いたかった、好きな人。どうしても好きな人。
「常盤くんだ……」
やっと会えた。
会えてうれしい。
思わずこぼれる、わたしの中のほんの一部。