金曜日はキライ。
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学園祭の出し物が『子供の頃の夢を叶えられる店』になった。テーマはそれだけどいわゆるコスプレ写真館みたいな感じ。
ゲームセンターで働いてるクラスメイトと家が写真スタジオなクラスメイトのおかげで準備に問題はなさそう。
自分たちの衣装は自分たちで作ることになった。
「ねえ茉幌、小さい頃の夢覚えてる?」
家に泊まりにきた日葵がくすくすと笑いながらふとんから顔を出す。小さい頃から肩からつま先までしっかりふとんがかかってないと眠れないんだ。
「覚えてるよ、日葵と同じでしょ」
そう返しながら棚の中のアルバムを取り出す。幼稚園のものだ。
ページをめくる手を年長さんのお遊戯会でした劇の写真で止める。その中のわたしたちは色ちがいの羽根が生えた妖精役をしている。
「そうそう、わたしたち妖精になりたかったよねー」
「双子のね!なんの妖精だったっけこれ」
「ぜんぜん覚えてない!でも作る衣装これにしない?」
「えっ!いや、はずかしいでしょ…!」
さすがに…だってこれけっこうフリフリだし、今したら露出も多くて…かなり難易度が高い。
「絶対似合うからはずかしがらなくても大丈夫だよ。それに最近の茉幌、なんだか積極的にがんばろうとしてるし大丈夫」
「へ…」
「なんかきっかけがあった?前からだけど、でも今の茉幌大好きだよ」
きっかけならあったよ。
好きな人に笑ってほしいって思うようになったよ。好きな人ができたよ。
でも言えない。
「ありがとう…がんばろうかな」
疑問符がついた口調を無視して笑ってみせる。
日葵はちょっと残念そうに、だけど優しく見守るように笑みを返してくれた。
言えばいい。常盤くんのことが好きになったって話せばいい。前は日葵の好きな人だったかもしれないけど、今はもう千昂くんという彼氏がいる。