金曜日はキライ。




──── 金曜日は相変わらずキライだ。



「清雨ー、明日予定あんの?」

「千昂と遊ぶけど来る?」


常盤くんがそう言うと教室の中心には男女問わず人が集まりはじめて、「おれも」「あたしも」なんて、気づけば明日を一緒に過ごす約束を何人もとの間で交わしてく。

いいなあ。わたしも、休みの日もきみに会えるような関係になりたいよ。

なってみたいよ。


なんて羨望のまなざしを向けていると、その集団の中にいた志保梨ちゃんがこっちを見た。


「ほろちゃんも来る?」

「えっ」


思わずすっとんきょうな声が出てしまった。


「何するってわけじゃないけど」

「あ…わたし明日はバイトなの。誘ってくれてありがとう、楽しんでね」

「バイトなら残念ー。ほろちゃんってけっこうシフト入れてるの?」


教室の中心から端っこに問いかけが飛んでくる。

なんとなく常盤くんを見ると、常盤くんもわたしを見ていて、はずかしさのあまりその視線からすぐさま逃げ出した。

うう、できれば志保梨ちゃん、もっと近くで話しかけてきてほしい…!


「う、うん」

「茉幌、バイト先の人と仲良しなんだよー。ねっ」


日葵が守ってくれるみたいに間に入ってくれた。「ちょっと妬けちゃう!」なんて言いながら腕を組まれる。


「そうなんだ、今度食べに行かせて!」

「あ、うん!待ってるね!」


志保梨ちゃんがその後常盤くんに行こうよって誘ってるのが聞こえたけど、その返事がこわくて、視線を窓の外へ追いやった。


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