金曜日はキライ。


なにか、思ったかな。

それとも何も思わなかったかな。思わないよ、きっと。だってわたしのことなんて常盤くんには何一つ関係のないこと。


志保梨ちゃんに怒られたゆり菜ちゃんは小さな声であやまってくる。それに対して「べつに」とそっけなくも許してくれる弓くんは、優しい男の子だ。

チャレンジャーだね、とりくちゃんがつぶやく。のんきだなあ。

わたしは、なんて言えばいいのかわからなかった。


「なにその話!なんでゆり菜がそんなこと知ってるの?」


お客さんの対応をしてた日葵がそっちのけでこっちにやってくる。どきり、と心臓が縮こまる感覚がした。

そういえばわたし、日葵に何も話してない。

話したらきっと「いいじゃん」「付き合ってみなよ、仲良しなんでしょ?」なんて言われると思って言えてない。付き合えない理由をわたしは話せないから。


「この前ふたりが一緒にいるときに会ったんだよー。仲睦まじかったからてっきり付き合ってるのかと思っちゃったんだよね、ごめんね勘違いしちゃって!」

「ゆり菜はちょっと黙ってて」

「志保梨ってばさっきから厳しくなーい?」


ああ、やばいかもしれない。



「茉幌、最近なにも話してくれない」


「あの、日葵…」



むすっとして、眉間を寄せて悲しげな顔。


「前は何かあったら一番に話してくれたのに」


一番の相談相手は常に日葵だった。今までずっと、なにかあれば必ず報告してた。いやなこともうれしかったことも聞いてほしいのはいつだって日葵だけだった。

それは今も変わらない。


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