金曜日はキライ。
変わらないけどそれ以上に…わたし、大切にしたいものができちゃったんだ。
「ごめん、日葵」
「ごめんとかが聞きたいんじゃないもん。志保梨とかにはけっこう話してるみたいだし…その男の子のことだって、何かあったなら話してくれたっていいのに、前は話してくれたのに」
それは話せないことなんて前はなかったから。
「ごめ……」
「あんたらがいつから親友してんのかなんて知らねーけど、いつまでも子供じゃねえんだから話せないことだってできてくるだろ」
弓くんの低い声が響いた。
「親友とか莫迦莫迦しいんだよ。服とかおそろいにして、自分が一番こいつと仲良いんだって見せつけて、アナタにはワタシが必要だってこいつに言い聞かせるような話し方して、本当にその関係に縋り付いてんのはあんたのほうなんじゃねえの」
「ちょ、弓くん、そんなことないから…」
「おまえも、イイコぶんのそろそろやめたら?かっこわりーんだよ。めんどくせーしうぜーし見てるだけで腹立つんだよ」
「…っ」
「何がいいのかサッパリだけどさ、大切にしたいやつがいるんだろ?他のものまで何個も何個も大切にできるような器用さ持ってねえんだから、本当に大切なもの守るために他のもの切り捨てるくらいの覚悟でがんばってみろよ」
胸くそわりーって、最高潮に苛立った声で吐いて、教室から出てってしまった。
コック帽が床に転がってる。
教室に流れる空気も、日葵の泣きそうな顔も、弓くんを失望させたのも、わたしのせいだ。
わたしが曖昧だったから。