金曜日はキライ。


何かできたなら、きみのためになりたい。どんな些細なことでもいい。気づかれなくていい。そう思っているのに何もできない自分がきらい。


「そんなことない。いつもうれしいよ」


また、泣きそう。がんばって泣かないように歯をくいしばる。

何もできてない。大したことは何も。そんな、本当の本当に小さなことをうれしいと言って受け入れてくれた。


わたし、きみのために何かできていたのかな。



「おれさ。露木みたいに何事にもがんばりきれるやつになってみたかったんだよね」

「わたしはそんな…」

「自分で気づかないうちに人を助けてることもがんばり続けてることもあると思う。露木はそれをできてるよ」



きみに対してできることなんて、指先でつついたらすぐに崩れるくらい脆くて、だけど壊れたことにすら気づかないくらい些細で目をこらさないと見えない小さいことくらいしかないかもしれない。

そうずっと思ってた。

気づかなくてもいいから何かしたいって思ってた。


「おれはけっこう、露木のこと知ってると思ってる」


気づいてくれていた。

何もできてないって思うくらい微力なものを、ちゃんと見つけてくれる優しいひとをわたしは好きになったんだ。


「…わたしも、なんとなく常盤くんのことわかる気がする」

「え、本当に?たとえば?」

「本当かどうかはわからないけど…自分の感情をさらけ出すのが苦手なんじゃないかなあって」

「……」

「さらけ出して、叶わなかったら…かなしいもんね。むなしく感じちゃうもんね」

「…うん、そうだね」



その気持ち、ちょっとわかるの。うまく笑えないのもそのせいなんじゃないかなって。

今日こどもの頃の夢を着なかったのもきっとそう。


同じように思ったこと何度もあるよ。


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