金曜日はキライ。
先に行くと言ってふたりは仲良く行ってしまった。
千昂くんはどうして野球やめたんだろう。わかんないけど、あのふたりはも相当仲良しだと思うんだ。
「茉幌、清雨ともふつうに話せるようになったね」
日葵が歩き出すからそれに続いた。
「そ、そうかな」
「うん。敬語とかになってまだ緊張見えるけど、前よりずっと仲良さそう。ソフトの練習一緒にしたりしてたもんね」
常盤くんに今の気持ちを聞こうとした。何度もした。でも寸前で言葉がのどに詰まる。
まだ好きだって言われたらどうしよう。
もう好きじゃないって言ったら、わたしはどうするの。
『ただの憶測に振り回されてんなよ』って弓くんは言ってくれた。『切り捨てらんないんならそれくらいがんばってみれば』って。正論すぎて泣けてくる。
それにそこを確かめないとわたしはいつまでも日葵に自分の気持ちを話せない。
話しちゃえって思うけど、話したことで、常盤くんの気持ちが叶わないなんてことになったら死んでしまいそう。
そういうのも、弓くんに言ったら「ばーか」って笑われそう。
でも、そうだよね。ばかだよね。このままじゃ、だめなんだった。
「…ねえ日葵」
「んー?」
わたしたちは仲がいいから、けんかしても次の日にはなかったことになってる。だからけんかした思い出すらぜんぜんない。
「学園祭の時のことうやむやにしててごめんね」
あの次の日の朝、日葵はふつうの笑顔でおはようって言って一緒に学校に行ってくれた。
他愛のない話をして、学園祭の話までして、何事もなかったみたいに一日を過ごして、その次の日も何事もなく終わって時間が経った。