金曜日はキライ。


どんな話をしてるんだろう。仲がいいって思われるような話をしてくれているんだと思うと、きらわれてはいないことに安心してしまう。

くすくす笑ってた千昂くんの声が少しずつ消えていくのに気づいて隣を見る。淋しそうな顔をしていて、この人も感情が表に出るタイプなんだと知る。


「千昂くん…?」

「俺には、全然してこないけどね」


どんな反応をしたらいいかわからなかった。そんな気持ちが顔に出ていたのか「今度は困ってる」とちょっと笑った。さっきとは全く違う笑みに戸惑いを隠せない。

常盤くんが思ってること。

それと同じようにだけ、千昂くんが思ってることがあるのかもしれない。



「清雨のことすげー大事な友達だって思ってるんだけどさ」


“親友”って、むずかしい。


「時々心底馬鹿だなって思うよ」



冷たい言葉も、そう聞こえなくなる。優しい言葉も、わからなくなる。


「野球はポジション違うのに勝手に張り合ってきて勝手にやめるし」

「千昂くん…」

「日葵のことだって最初はただふつーに見た感じで「かわいい子だね」的なことぽろっと言っただけであきらめて俺と付き合わせようとしてくるから…本当に付き合っちゃった」

「…っ」

「馬鹿すぎて腹立つんだよ」


それはきっと嘘だ。だけど、本心だ。



常盤くんのこと庇いたくなる。けど、千昂くんの顔は、こんなこと言いたくないって気持ちが表れてて何も言えない。


「ほろちゃんのこと俺に話してこないのもまた俺にとられるのがこわいんじゃない?馬鹿だよねー。日葵のことは自分のせいなのにさ」

「そんなこと…」

「あるよ。ほろちゃん、あるんだよ。清雨って負けず嫌いでプライド高くてそのくせ自己評価低くてめんどくさいやつだけど、本当にあいつでいーの?あのバイト先の子のほうがほろちゃんには合ってるように思えるんだけど」


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