金曜日はキライ。
まさか千昂くんにこんなこと言われるとは思わなかった。どちらかといえば優しく見守ってくれていると思っていたから。
でも千昂くんにとってわたしはあくまでも他人だ。親友のクラスメイト。彼女の親友。
「常盤くんのことけなしてるような言い方して、本心なんだろうけど、ちがうよね。それだけじゃないよね。心配なんでしょう…?今度こそ幸せになってほしいって思ってるんでしょう?」
「……」
「日葵のこと後悔してるなら、しないであげてほしい。今はとても好きなんだってことくらい見てたらわかるもん。常盤くんだってわかってると思う」
常盤くんと日葵と千昂くん。複雑な関係なようでシンプルだから切なくなる。
「ごめんね。だけどこれだけは言わせてほしい。わたしは、常盤くんが笑ってくれたらそれでいい。そのためならなんでもしたいって思ってる」
もし常盤くんがまだ日葵のことが好きだったら、いつかうまくいきますようにって思うよ。そのためなら自分の気持ちを隠し通すよ。
もし常盤くんが他の誰かを好きになったら、今度こそ自信を持って好きを貫いてほしいって思う。それが報われたらそれでいい。
「わたしも千昂くんの親友の幸せ、一緒に願うよ」
だから常盤くんに気づいてほしい。
きみが泣いたら必ず手を差し伸べてくれるひとがたくさんいること。淋しい思いをしていたらそばにいてくれるひとがたくさんいること。一緒に笑ってくれるひとだってたくさんいる。そういうひとがたくさんいるのは、自分のちからだってこと気づいてほしい。
ただの人気者じゃないよ。まわりを笑顔にしてる、かっこいい人なんだよって。
「ありがとう、ごめんね」
そんな言葉に首を横に振る。
千昂くんみたいな人がわたしの好きな人たちの隣にいてくれてよかったって本気で思ってるんだよ。